2026年1月2日・3日に行われた 第102回箱根駅伝 は、
記録、展開、ドラマ、そのすべてが強く印象に残る大会となりました。
最大のハイライトは、
青山学院大学が往路5区で逆転優勝を決め、その勢いのまま総合優勝へとつなげたこと。
とりわけ、5区で歴史的な区間新を打ち立てた 黒田朝日の走り は、
大会の流れを一変させ、「山がすべてを変えた箱根」として語り継がれる内容でした。
一方で今大会は、青学の強さだけが際立った大会ではありません。
1区・2区を中心とした区間新ラッシュ,順天堂大学の復路での追い上げ、
そしてわずか12秒差で明暗が分かれたシード権争いなど、
最後まで緊張感の続くレースでもありました。
この記事では、箱根駅伝2026を
- 大会全体の流れ
- 青山学院大学が優勝できた理由
- 黒田朝日をはじめとする注目選手の走り
- 上位校・シード争いのポイント
という視点から、コンパクトに、しかし要点を押さえて振り返ります。
「なぜ青学は勝てたのか」
「この大会は、何が特別だったのか」
その答えを整理しながら、来年の箱根駅伝につながるヒントも探っていきます。
1|箱根駅伝2026はどんな大会だったのか【全体総括】
第102回 箱根駅伝(2026年)は、
一言で表すなら 「山が流れを変え、総合力が勝敗を分けた大会」 でした。
往路では、1区から4区にかけて主導権が目まぐるしく入れ替わり、
5区直前の時点でも優勝の行方は見えない展開。
しかし、その均衡を一気に崩したのが、5区・山上りでの逆転劇です。
● 往路逆転Vという珍しい勝ち方
今大会最大の特徴は、
往路5位からの逆転で往路優勝を決め、そのまま総合優勝につなげた点 にあります。
箱根駅伝では、
- 往路首位=総合優勝
というパターンが多い一方で、
往路終盤での大逆転がそのまま大会全体の流れを決めるケースは決して多くありません。
それだけに、
今回の青山学院大学の勝ち方は、
記録だけでなく「記憶」にも残る展開となりました。
● 記録が示した大会レベルの高さ
今大会は、
単なる逆転劇だけでなく、各区間で記録が更新される高レベルな大会 でもありました。
- 1区・2区での高速レース
- 中盤区間での主導権争い
- 山での歴史的区間新
いずれも、
近年の箱根駅伝における競技レベルの底上げを強く感じさせる内容でした。
● 「一強」ではなかったという事実
結果としては青山学院大学が総合優勝を果たしましたが、
レース内容を見ると、
最初から最後まで青学が独走していたわけではありません。
- 早稲田・中央・國學院が往路で存在感を示し
- 駒澤や順天堂が復路で追い上げ
- シード権争いは最後まで僅差
というように、
多くの大学がそれぞれの強みを発揮した大会 でした。
● 箱根駅伝2026を象徴するキーワード
今大会を振り返る上で、特に象徴的だったキーワードは次の3つです。
- 山逆転
- 区間新ラッシュ
- シード権12秒差
この3点が重なったことで、
箱根駅伝2026は「見応え」「緊張感」「記録」のすべてを兼ね備えた大会となりました。
2|青山学院大学が優勝できた最大の理由
箱根駅伝2026を制した 青山学院大学 の勝因は、
5区の劇的逆転だけにあるわけではありません。
最大の理由は、往路・復路を通じて「大きく崩れなかった総合力」 にあります。
● 往路5区で流れを引き寄せた決断力
往路4区終了時点で、青学は5位。
優勝争いから一歩後ろにいる位置でした。
そこで迎えた5区(山上り)で、
青学は黒田朝日を投入。
この判断が、結果的に大会全体の流れを決定づけました。
- 2分以上の差を一気に詰める
- 残り約2kmで逆転
- 往路3連覇を確定させる走り
単なる好走ではなく、
「ここで勝負を決めにいく」明確な意思を感じさせる起用 だったと言えるでしょう。
● 復路で崩れなかったチーム力
箱根駅伝では、
往路で勢いを得ても、復路で失速するケースは珍しくありません。
しかし今大会の青学は、
- 復路序盤で大きなタイムロスを出さない
- 中盤区間でも安定した走りを継続
- 終盤まで主導権を維持
と、「守りに入っても崩れない」強さ を見せました。
これは、
一部のエースだけでなく、
全区間に一定水準以上の選手を配置できる層の厚さ があってこそ可能な展開です。
● エース依存ではない構成が生んだ余裕
青学の強みは、
「誰か一人が走れなければ終わり」という構成ではない点にあります。
- 区間配置に柔軟性がある
- 想定外の展開にも対応しやすい
- 天候やコンディションの影響を受けにくい
この エース依存ではないチーム設計 が、
2日間の長丁場を安定して戦い抜く力につながりました。
● 勝因を一言で表すと
青山学院大学の優勝を一言でまとめるなら、
「攻めどころを逃さず、守るべきところで崩れなかった」 という点に尽きます。
5区で流れを引き寄せ、
復路で無理をせず、しかし確実に走り切る。
その積み重ねが、総合優勝という結果につながりました。
3|最大のハイライト|5区・黒田朝日の歴史的区間新
箱根駅伝2026を語るうえで、
5区・山上りでの 黒田朝日 の走り を外すことはできません。
この区間こそが、大会の流れを決定づけた最大の分岐点でした。
● 5位からの逆転という衝撃
往路4区終了時点で、青山学院大学は5位。
先頭とは 2分以上の差 があり、
通常であれば「優勝争いは厳しい」と見られてもおかしくない位置でした。
しかし黒田朝日は、
山上りの序盤から安定したペースで前との差を削り、
中盤以降は他校を圧倒する走りを見せます。
残り約2kmで前を行く早稲田大・工藤慎作をとらえ、
往路首位でのタスキリレーを実現。
この瞬間、箱根駅伝2026の主役がはっきりと定まりました。
● 区間記録を1分54秒更新する異次元の走り
黒田朝日の記録は 1時間7分17秒。
従来の区間記録を 1分54秒も更新 する、
まさに「歴史的」と言えるタイムでした。
箱根の山は、
- ペース配分が難しい
- 後半で失速しやすい
- 経験と冷静さが求められる
という条件がそろう特殊区間です。
その5区でこれだけ大幅に記録を更新したことは、
個人の能力の高さだけでなく、完成度の高さ を強く印象づけました。
● 「新・山の神」と呼ばれる理由
これまで箱根駅伝では、
5区で圧倒的な走りを見せた選手が
「山の神」と称されてきました。
黒田朝日の走りは、
- 大差をひっくり返すインパクト
- 他校のエースを正面からねじ伏せる内容
- 大会の流れを一変させた決定力
という点で、
新たな「山の神」と呼ぶにふさわしいもの だったと言えるでしょう。
● 黒田の走りが青学にもたらしたもの
この逆転劇によって、青学は
- 往路優勝という大きな勢い
- 復路を有利に進められる心理的余裕
- 他校に与えるプレッシャー
を一気に手にしました。
黒田朝日の5区は、
単なる区間賞ではなく、
大会全体の構図を決めてしまった走り だったのです。
4|区間新ラッシュが示した大会レベルの高さ
箱根駅伝2026は、逆転劇だけでなく、
複数区間で区間記録が更新された「記録の大会」 でもありました。
この区間新ラッシュこそ、今大会のレベルの高さを端的に物語っています。
● 1区|青木瑠郁(國學院大)の高速ラスト
1区では、國學院大学の青木瑠郁が
1時間0分28秒 の快走で区間記録を更新。
- 終盤まで集団で進む難しい展開
- ラストのスパートで一気に抜け出す
- 精神力とスピードを兼ね備えた内容
1区でこれだけの記録が出たことが、
「今年は簡単には決まらない大会になる」
という予感を強く印象づけました。
● 2区|ヴィクター・キムタイ(城西大)の異次元スピード
エース区間の2区では、
城西大学のヴィクター・キムタイが
1時間5分09秒 という区間新をマーク。
- ハイペースを最後まで落とさない
- 留学生エースの強さを象徴する走り
- 一気にレースを動かす存在感
2区でのこの走りが、
大会全体を「高速化」させたと言っても過言ではありません。
● 3区|本間颯(中央大)が作った主導権争い
3区では、中央大学の本間颯が
10km過ぎで先頭に立ち、独走態勢を築きました。
区間新こそ出なかったものの、
- 先頭でレースを引っ張る展開力
- 3区から4区への流れを決定づけた走り
- 中央大を優勝争いの中心に押し上げた貢献度
という点で、
大会の流れを作った重要な区間 だったと言えるでしょう。
● 記録更新が意味するもの
今回の区間新ラッシュは、
単なる「速い選手がいた」という話ではありません。
- 各校のトレーニングレベル向上
- 留学生・日本人エース双方の進化
- ペース管理・戦略の高度化
こうした要素が重なり、
箱根駅伝全体のレベルが一段階引き上げられている
ことを示しています。
● 青学の逆転をより際立たせた背景
このように各区間でハイレベルな走りが続いたからこそ、
5区・黒田朝日の逆転劇は、より際立つものとなりました。
速いレースの中で、
さらに一段上の走りを見せなければ、
あの逆転は実現しなかったと言えるでしょう。
5|優勝争い・表彰台争いのもう一つの主役たち
箱根駅伝2026は、青山学院大学の逆転優勝が強く印象に残る一方で、
その背後で確かな存在感を示した大学 も数多くありました。
ここでは、表彰台争い・上位争いを彩った主役たちを整理します。
● 順天堂大学|復路で評価を高めた安定感
今大会で特に評価を上げたのが順天堂大学です。
- 往路6位と大きく出遅れなかった
- 復路で着実に順位を押し上げた
- 最終的に総合3位で表彰台を確保
総合タイム 10時間43分55秒 は、
復路の安定した走りがなければ到達できない数字でした。
派手さはなくとも、
2日間を通して「崩れない強さ」 を示した点が、
今大会の順天堂大を象徴しています。
● 早稲田大学|往路で大会を動かした存在
往路で最も大会を動かした大学の一つが早稲田大学です。
- 4区でのルーキー鈴木琉胤の追い上げ
- 5区で工藤慎作が一時は首位に立つ展開
- 青学の逆転劇を演出する“相手役”としての存在感
特に5区では、
箱根の山を先頭で上るという大役 を担い、
レースの緊張感を一気に高めました。
結果以上に、
「大会を面白くしたチーム」として記憶される存在です。
● 中央大学|中盤で主導権を握った攻めの姿勢
中央大学は、
3区・本間颯の独走によって一時は主導権を握り、優勝争いの中心に躍り出ました。
- 3区から4区にかけての流れを作った
- 往路で存在感を強く示した
- 攻めの姿勢が印象的
最終的に表彰台には届かなかったものの、
「勝ちにいく姿勢」を明確に示した大会 と言えるでしょう。
● 國學院大学|1区から流れを作った安定感
國學院大学は、
1区・青木瑠郁の区間新という最高のスタートを切りました。
- 1区トップ通過で大会の主役に
- 中盤以降も大崩れせず粘る
- 上位争いに最後まで絡む展開
爆発的な逆転こそなかったものの、
安定したチーム力 を改めて印象づけました。
● 表彰台争いが示した今大会の特徴
これらの大学の走りから見えてくるのは、
- 一校だけが抜けていたわけではない
- 各校がそれぞれの強みを発揮した
- 展開一つで順位が大きく変わる大会だった
という点です。
青学の優勝を際立たせると同時に、
箱根駅伝2026が「群雄割拠」の大会だったこと を、
表彰台争いははっきりと示していました。
6|シード権争い12秒差が物語る箱根の厳しさ
箱根駅伝2026を振り返るうえで、
優勝争いと同じくらい強烈な印象を残したのが、
シード権争いのわずか12秒差 です。
● 10位と11位を分けた「12秒」
今大会では、
- 10位:東海大学
- 11位:中央学院大学
この両校の差は、わずか12秒。
2日間・約217kmを走り抜いた末に生まれた差としては、
あまりにも小さな数字でした。
1区間で考えれば、
- 信号待ち
- 給水の一瞬
- 下りでの数歩
それだけで覆りかねない差です。
● シード権の重みが際立つ結果
箱根駅伝におけるシード権は、
- 予選会免除
- チーム編成の余裕
- 選手の負担軽減
など、次年度に直結する大きな意味を持ちます。
その権利を、
12秒という紙一重で失うか守るか が決まったことは、
箱根駅伝の厳しさを改めて浮き彫りにしました。
● 小さなミスが致命傷になる時代
今回の結果が示しているのは、
- 大きな失速がなくても
- 全体としては良いレースでも
- どこか一つの区間での数十秒
それだけで、
順位も、来年の立場も大きく変わるという現実です。
箱根駅伝はもはや、
「勝負どころだけ頑張ればいい大会」ではなく、
10区間すべてでの完成度が問われる競技 になっています。
● 来年への明確なメッセージ
この12秒差は、
来年の箱根駅伝を目指すすべての大学にとって、
- 最後まで集中を切らさないこと
- 1区間・1km・1秒の重み
- チーム全体での底上げの重要性
を突きつける結果だったと言えるでしょう。
7|箱根駅伝2026を振り返って|来年につながるポイント
箱根駅伝2026は、
記録、逆転、接戦という要素が重なった、
近年でも特に完成度の高い大会 でした。
その内容は、来年以降の箱根駅伝を考えるうえでも、
多くの示唆を残しています。
● 「山がすべて」ではないが、「山が流れを変える」
今大会は、5区・黒田朝日の逆転が象徴的でしたが、
同時に浮かび上がったのは、
- 山だけ強くても勝てない
- しかし山で流れが変わる現実は今も健在
という事実です。
往路全体で差を最小限に抑え、
「山で勝負できる位置」にいること。
これが、これからの箱根駅伝でますます重要になるでしょう。
● 総合力時代の箱根駅伝がさらに進む
区間新ラッシュや12秒差のシード争いが示したのは、
箱根駅伝が完全に 総合力の競技 になったという点です。
- 1人のエースだけでは足りない
- 10区間すべての完成度が求められる
- 小さな差が致命的になる
この傾向は、今後も変わらないと考えられます。
● 青学の勝ち方が示した「理想形」
青山学院大学の勝ち方は、
今後の各校にとって一つの指標になりそうです。
- 勝負どころを見極める
- 攻める区間と守る区間を明確にする
- 勢いを得た後に崩れない
こうした レース全体を見通した戦い方 が、総合優勝への近道であることを証明しました。
● 来年の箱根駅伝は、さらに面白くなる
2026年大会を経て、
- 各校が山対策をどう進めるのか
- 記録水準はどこまで上がるのか
- 接戦のシード争いはどう変わるのか
といった点に、
すでに来年への注目が集まっています。
箱根駅伝2026は、
単なる「一大会の結果」ではなく、
次の箱根駅伝への物語が始まった大会 だったと言えるでしょう。
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